最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)116号 判決 1949年6月14日
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人池辺甚一郎の上告趣意第二點について。
所論の上申書は、被告人が自己の失態を詫び、將來の善行を誓った書面であり、また所論の證明書は、被告人が保釋後改悛の情顕著であることを證明した書面であって、いずれも犯罪事実の存否の證明に關するものではなく、犯罪後の被告人の情状に關するものである。このような書面は、被告人側から裁判所に提出して参考のため一覽を求める趣旨に過ぎないものであって、舊刑訴法第三四二條に規定する證據書類というような厳格な證據方法ではない。されば、原審が所論の書面について證據調をしなかったからといって所論のように違法ではないから、論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)
よって、最高裁判所裁判事務處理規則第九條第四項舊刑訴法第四四六條に從い主文の通り判決する。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)